近年、退職勧奨や不当解雇の事例において、RSU(譲渡制限株式報酬)の取り扱いが問題となる案件のお問合せを頂くことがしばしばあります。
そこで、リストラとRSUの関係について、以下で簡単に御説明します。
RSUに関するQ&A
Q:RSUとは何か?
A:RSU(Restricted Stock Unit、譲渡制限株式報酬)の内容を端的に述べると、従業員が会社から当該会社の株式をまずGrant(権利付与)され、続いて一定期間経過後にこれをVest(譲渡制限の解除)されることで売却益を獲得することが出来る、という仕組みの株式報酬です。
RSUの支給対象となる様な重要な役職の社員を長く会社に留めたり、より長期的な利益実現の視点をもって業務に従事させるという効果があることから、近年では幅広い業種でRSUの導入が進んでいます。一定の業績を挙げたことに対する報酬として用いられるほか、他社からの採用を促すために転職時の入社条件の一部として付与されることも多くなっています。
Q:リストラの場面で、RSUに関してどのような問題が生じるか?
A:概ね、①退職勧奨開始時に未だVestされていないRSUが残っている場合に、退職勧奨によって当該未Vest分のRSUを放棄すべしという会社側の主張(※会社の業種によって、このような主張がなされることがあります)の妥当性をどう考えるべきか、②解雇された場合の未Vest分のRSUの失効扱いにどう対処すべきか、といった問題があります。
特に、社内で相応の高い地位にある方であれば、無視出来ない金額のRSUが未Vest状態で積み上がっていることがあり、この点についての深い理解がある弁護士を必要とされるケースが徐々に増えている印象です。
また、RSUは、外資系企業であればほぼ100%、本国で作成された英文の規定しか用意されていないため、その内容の厳密な理解や、会社側との主張・反論の応酬のためには高度な語学力が必要となります。
Q:RSUについて理解がある弁護士を探すには?
A:退職勧奨や解雇の場面において、未Vest分のRSUをどのように扱うかについて、従業員側・使用者側の双方を含め、これを深く理解している弁護士は非常に限定的である様に見受けられるため、RSUが問題となるケースでは対応可能な弁護士を慎重にお探し頂く必要があります。
他方で私は、外資系金融のフロント職に従事した全17年余の期間のうち約10年間程度、自分自身が継続的に成果型報酬の一部としてRSUのGrant・Vestを受けてきたという、本邦の弁護士としてはほぼ類を見ない極めて稀な経験を有しています。この経験を活かして、RSUの支給を受けている責任あるポジションの方々からの法律相談に的確に対応すると共に、これまで複数の退職勧奨・解雇案件で、RSUの取り扱いについて従業員側に不利益を強いようとする会社側の主張に強い姿勢で対抗して参りました。
RSUの取り扱いについて、会社側の対応に疑問がある場合には、是非お問い合わせ下さい。